水虫じゃないと言われたので安心していたらやっぱり水虫だった
正体不明の塗り薬をぬりぐすること半年
後輩から紹介されたゴッドハンドが、10秒診察をしてから半年、正体不明のゼリー状の薬をただ愚直に塗り続ける日々が続いた。
いっこうに治る気配のない患部、減り続ける薬、2度ほど薬のおかわりをしにゴッドハンドの元に行ったのだが、2回目からは、患部の状態はほぼノールック。「薬を塗り続けてください」とだけ言われ続けた。
今から考えれば、さっさと別の病院に行くべきだったのだが、かゆみも痛みもなく、ただ水疱ができて皮が破れる。これの繰り返しだったので、後回し後回しになっていた。
急な痛み
そんな、なんでもないようなことが、幸せだったと思うような毎日が突然終わりを告げる。いきなり親指のつけ根が痛み出した。本当にいきなり、その前の夜に薬を塗ったときは何でもない夜のこと、二度とは戻れない夜。
幸いなことにチクチクする程度の痛みで、絶叫するような痛みではなかったが、さすがにこうなってくると自分の中で「ゴッドハンドはゴッドハンドじゃない…? というか皮膚科でゴッドハンドって何なんだよ…」疑惑が生まれる。
別の病院へ
ちょうど用事があって平日に地元に帰っていたので、田舎ではあるもののそこそこ大きい総合病院へと向かった。
午後の3時を過ぎてから入ったので、ほとんど人もおらず(田舎の病院は、爺さん婆さんが朝の早くに大挙して押し寄せる)、すぐに受付から呼ばれて、看護婦さんから診察前の事情聴取を受けた。
事情聴取
「今日はどうしましたか?」
半年ぐらい前から左足の親指に水疱ができてて、特にかゆみも痛みも無かったんですが、今日になっていきなり痛みだしてきたんです。
「なるほど、半年って結構前からですね」
放置していたわけじゃなくて、ゴッドハンドに見てもらって水虫ではなく炎症しているとは言われました。
「ゴッド…何?」
あ、いや、なんでもないです。実は他の診療所で見てもらって、水虫ではなく炎症だと、薬を塗り続けるようにと指示されました。ただ、どうにもこうにも治らないので、今日こちらに受診しにきたという流れです。
「ふむふむ、その薬って今お持ちですか?」
あ、車の中にあります。取ってきますか?
「えーと、お薬手帳とかあります? あるいはその薬の外側に名前とか書いてあると思うんですけど」
いや、薬手帳は無いですし、渡された時にどんな薬かの説明もなかったです。容器はそこの診療所の独自のもので、診療所の名前と電話番号が書いてあるだけです。
「(他の看護婦さんと顔を見合わせて)…えーと、それじゃ結構です。このまま診察しましょう。11番の部屋の前でお待ちください」
…やっぱり異常ですよね。
顕微鏡と皮膚科医
「○○さーん、中にどうぞー」
名前を呼ばれて診察室に入る。椅子に座った医師の隣には、顕微鏡と思われる機材。
「えーっと、足に水疱ができてると、ちょっと見せてもらっていいですか?」
あ、はい。
「うーん、皮が剥けちゃってますね。前に行った診療所では検査ってしました?」
検査はしてないですね、ゴッドハンドなので。
「ん? ゴッド…何?」
あ、いやこっちの話です。特に何も検査らしい検査はしてないですね、患部を見るか見ないかで、すぐに皮膚炎だと言われました。
「えぇぇぇぇ… とりあえずちょっと検査してみるんで、皮少し取りますね」
おもむろにピンセットで皮が剥けているところをグリグリされる。あ、絶叫するほどじゃないけど、ちょっと痛いかも。そのまま剥ぎ取った皮膚をプレパラートの上に乗せて、挟み込んでライターで炙る。隣にある顕微鏡にセットして何かを見ている。
「う〜ん…」
ね? 水虫じゃないでしょ? というか、知り合いにも「いやー、なんか水虫かと思ったけど皮膚炎らしいんですよ。だから大丈夫っすよ、いや、別に一緒に生活してる訳じゃないんで、何が大丈夫ってはなしなんですが」とさんざん言ったので、今更水虫とか言われても困r
「いますね。水虫。」
ですよね〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
なーにがゴッドハンドだよってね! だいたい薬塗り続けて半年たっても治らないって明らかに何か あ、はい、別の塗り薬を風呂あがりに塗るんですね。え? ええ、もしもよろしければ何本がいただければありがたいです。
泣き濡れて
いや、泣いてもないし濡れてもないんですが。診察室から出たときの、受付の看護婦さんのなんとも言えない目。
実際に診療所が診察ミスをしたかというと、そこは普通に「最初に見てもらった時は皮膚炎だったけど、後から水虫を発症した」という可能性もあるわけで。(いきなり痛みが出てきた、梅雨時期に入ったという事を考えても)
意識高いマンが降りてきた
こんな流れで「水虫かと思って病院に行ったら水虫じゃないと診断されたから、水虫じゃない水虫じゃないと周りの人に言いまくっていたけどやっぱり水虫だった」ことが判明。
話は少し横道にそれるが、自分は基本的には面倒くさがりで、あまり自発的になにをどうこうすることはないのだが、1年に数回脳内に意識高いマンが降臨する。「このままじゃいけない! もっと生産的な行動をせねば!」的な感覚でロクデモナイことをやりだすのだが、まぁ長続きはしない。この辺りのテンションを維持できる人間が成功するんだろうなー、と思いつつ、意識高いマンが沼に沈んでいくようにずぶずぶと消えていく。
話を戻して、透明な塗り薬が白い塗り薬になったけど、これからまた風呂あがりに塗り続ける日々かー、と少し憂鬱な気分になった時に、突然意識高いマンが脳内に降りてきてこんなことを言い出した。
「ピンチはチャンスです…」
え? いや、特にピンチでもないというか、そんなどの自己啓発の本にでも書いてあるようなフレーズを突然出されても…
「水虫治療の経過をブログとして記録するのです…」
いや、そんなのどこに需要があるんですか… そもそも、ブログのネタになるような重症な感じでもないですし。
「Stay hungry, Stay foolishです… 馬鹿馬鹿しいことでもまずはやり始めるのです…」
いや、hungryとかよくわかんないですし。foolishはわかりますけど悪い意味での馬鹿というか。そもそも、水虫ブログって友達に紹介できる内容じゃないじゃないですか。「件名:水虫が悪化しました」でイイね!* 1000とかされても、何がイイんだこのヤロウってなりますし。万が一人気がでても「あ〜! あの水虫で有名な!!」と言われたら、もう外歩けないですよ…
「だからこそです… 人がやらないことをやってこそ、成功への道が開けるのです… ナンバーワンより、オンリーワンです…」
あの、いまGoogleで調べたら、結構な数の水虫治療ブログあるんですが…?
「…」
えっと…
「いいからやれよ水虫野郎」
あ、はい。
無駄にはてなブログPro
という脳内ストーリーを経て、このブログを解説することになった。
このブログははてなブログProだが、これは前回の意識高いマンが降臨した時に、技術系のブログを書くために契約したものを流用したもので、決して自分の水虫を全世界に公開するために月額600円はらっている頭のアレな人ではないので、その点はご留意いただければ幸いです。